お母さんの味をお届けします。
はじめまして
ムッティスクーヘンの店主・本郷はつきです。
私はかつてドイツで、お菓子作りに没頭する毎日を過ごしていました。
小さな町の工房の見習いからスタートして、最後はドイツ菓子のマイスターを取得して帰国するまでの10年間は、まさに修業の日々でした。
そのときに学んだ、ドイツ菓子のおいしさ、魅力を皆さんにお届けしたくて、ムッティスクーヘンをオープンしました。
ドイツ菓子は、お母さんが家族のために手作りするような、素朴でやさしい味が魅力です。
フランス菓子のような派手さはないけれど、素材を重視して味もひかえめ。子供に毎日食べさせても安心なお菓子です。
ぜひ一度、ムッティスクーヘンのお菓子をお試しください。
まずドイツ語を学ぼうとドイツへ
私は、子供のころからお菓子作りがとても好きでした。
小学校5、6年のころには自分で作ったバタークッキーを遠足に持って行ったりもしていました。同級生にも好評だったですよ。
そして中高生の頃には、「本場の西洋菓子を見てみたい」「ヨーロッパに行ってみたい」と思うようになっていました。
その思いはずっと続き、短大を出た私は、まずヨーロッパに行く資金を貯めようと、建設会社に就職しました。食品関係の求人もあったんですが、あえて、まったく別の世界に飛び込んで、3年間を過ごしました。
そして、やっと渡航資金ができ「さて、どこに行こうか」と考えたのですが、当時の私は「ヨーロッパといえば、フランス菓子かウィーン菓子かな」という程度の知識しかなくて。
でもフランス菓子は自分の個性とは違うような気がする。ならばウィーンへ行こうと思ったのですが、お菓子の勉強よりドイツ語を学ぶのが先だと考え直しました。
そして、ドイツ語を学ぶならドイツに行くのが早道だろうと単純に考えて、ドイツ中部の語学学校に入ったんです。
マイスターを目指して経験を積む
最初は2年の計画でドイツに行ったんです。1年目は語学、2年目はアルバイト的に仕事ができればいいなと思っていました。
ところが、現地に行って考えが覆されました。
ドイツのマイスター制度の下では、そんな甘い考えは到底通用しなかったんです。
ドイツでは、まず見習として3年間を過ごし、その後やっとゲゼレ(徒弟=平社員のようなもの)に昇格します。そしてゲゼレとして3~5年間経験を積んだ後、マイスター試験を受け、合格すれば開業が許されるのです。
最近は、この制度も随分とゆるいものになり、2~3年の修業ですぐにマイスターの試験を受ける人もいますが、私がいた当時はまだ厳格にこの制度が存在していました。
そこで、語学学校を修了した私は、まず、見習として働ける場所を探しました。
そしてヘーマーという小さな町の工房で雇ってもらえることになったんです。
この工房にはマイスターが1人、ゲゼレが2人、見習が2人。見習ですから洗物、掃除、計量といった仕事が毎日どっさり。
でも、人数が少なかったので、お菓子作りの基礎を一から十まで経験することができ、とても幸運だったと思います。
ドイツに魅了され10年間を過ごす
そこにいたのは2年半ですが、季節ごとのお菓子や、いろいろな素材を使ったお菓子などを作っているうちに、ドイツ菓子の魅力にはまっていった気がします。
見た目はぱっとしないけれど、質実剛健というか……。
背景にあるドイツという国の魅力とともに、すんなりと自分の中に入ってきました。
その後もドイツやルクセンブルクの菓子店やレストラン7軒でお菓子作りに携わり、98年にはケルンでドイツ菓子マイスターを取得しました。ドイツとドイツ菓子の魅力にはまった私は、結局10年もドイツで過ごしたんです。
修業の日々といっても、もちろん辛いことばかりじゃありませんでした。楽しい思い出もたくさんあります。
オンボロ車でアウトバーンをすっ飛ばしてドイツ中を旅したり、友人もできたし、おいしいお菓子にもたくさん出会った。
そんなドイツでの記憶を思い起こしながら、皆さんに食べていただくお菓子作りに精を出す毎日です。
機会がありましたらぜひ店舗に足を運んでください。一つひとつ丁寧に作ったお菓子をご用意して、皆さんをお待ちしています。
本郷はつき
東京都出身
短大卒業後、OLを経て1990年より単身渡独、語学学校でドイツ語を学ぶ
1991年 ドイツ・へーマーの「カフェ・ポーゲル」にて見習い開始
1993年 見習い試験終了後、「ホテルバイリッシャーホフ・ミュンヘン」のパティスリー部門、ケーファー・デコレーション部門、「カフェビットマン」、ルクセンブルクの「オーバーバイス」他、数件のレストラン、お菓子店に勤務
1998年 ドイツ菓子マイスター資格をケルンにて取得
2000年 帰国後、ユーハイム入社
2004年 出産を機に退社
2009年 ドイツ菓子工房「ムッティスクーヘン」を立ち上げ、ネット等を通じての注文販売、各種イベントへの出店を開始
2012年9月 自宅の庭に店舗をオープン
現在一児の母、子育て奮闘中